「ありがとう」をたくさん言えた日  

掲載日:2017.12.12


半年に一度、薬を処方してもらうために隣町の総合病院に通っています。
病院嫌い・薬嫌いの私も、この薬だけは無いと日常生活に影響するので、
ありがたく処方してもらっています。

予約した受診日の前夜に
受診カードと保険証を用意して、ふと気がつきました。
保険証の期限が9月で切れています。

個人事業主の私は、国民健康保険に入っています。
私のことだから、きっと保険者の市から新しい保険証が送られてきたのに、
何かの書類に紛れさせて気づかずに今日まで来てしまったのでしょう。

とは言え、明日は朝イチで受診して、午後には東京に行く予定です。
保険証の有効期限が切れていることが理由で、
受診や薬の処方に時間がかかったらどうしよう!と心配になりました。
自分のアホさ加減に、「どよーん」とした気分になります。

でも、もう夜だし、「ここで私がジタバタしても気をもんでも、どうしようもない」
と腹をくくり、寝ました。

翌日、叱られることも覚悟で病院の受付で訳を話すと、
こちらの不安を和らげるような笑顔で
「市に確認しますので、少々お待ちください」と言われました。
そして、ほどなく「確認が取れました」と、スムーズに受診の手続きを進めてくれました。
感じの良い受付の人の対応に、少々重かった気持ちもスッキリと軽くなりました。

受診も薬局での薬の受け取りも何の問題もなく、
薬剤師さんもとても感じの良い人に当たりました。
予定していたよりも時間がかからなかったので、
この足で市役所に行き再発行の手続きをしてしまおうと決めました。

車で市役所に向かう時には、少々気が重かったです。
市役所も苦手です。
感じが悪かったり横柄な職員に当たることがこれまでもあったので、
今回もきっと私のミスだろうし、嫌な思いをするのだろうと覚悟をして行きました。

国保の窓口で事情を話すと、中年の女性が受け付けてくれました。
調べた結果、確かに新しい保険証は送っているとのことです。
その点は私も了解で、「私のミスだと思います」と伝えました。
その方はとても感じが良くて、気持ちよく再発行の手続きをしてくれました。
久しぶりに感じが悪くない対応をしてもらって、
「この人はきっと非常勤の人だろう」と、勝手に思いました。

「市の正職員は感じが悪かったり仕事ができない人が多いけど、
非常勤の人たちは、仕事ができて感じが良い。」
これは、これまでの経験からできあがった私の偏見です。(すみません)

実際には、感じの良い優秀な正職員も多いとは思います。
そして、少なくとも、私の知っている非常勤の人たちは、
時に正職員よりも優秀で、人柄も感じも良い人が多いです。
だから、私のデータベースから、
「あの感じの良い国保の女性は、非常勤だ」と判断しました。(笑)

ま、そんな自分の偏見に気づきながらも、
新しい保険証を迅速に発行してもらって、安心して東京へ行くことができました。

東京では、翌日から2日間のワークショップに参加予定でした。
主宰者の女性とは、この夏に出会ってまだ半年です。
私より4歳年上の彼女は、初対面の時から私をとても気に入ってくれて、
何かと良くしてくれます。

そんな彼女と「夕食を一緒に」と約束していました。
羽田に着いてから連絡すると、
明日からのワークショップのファシリテーターである
アメリカ人の女性と一緒に食事をしようとのお誘いを受けました。

ありがたいお誘いですが、英語、どうしよう・・・。
躊躇する気持ちもありましたが、
「せっかくだからご一緒させていただこう」と決めました。
「たまには無口の私もいいだろう」と、自分に言い聞かせながら。

目黒で待ち合わせて、3人で食事をしました。
推定年齢80歳前後のジャニスはとても感じの良い女性で、
世界各地でワークショップをしているとのことでした。
還暦を過ぎて体の動きにも記憶力にも衰えを感じ始めていた私には、
彼女の存在はいい刺激になりました。

日常で英語を話す機会は皆無の私は、しゃべる英語は中学生なみでしたが、
聴き取る力はまだそれほど衰えていなかったようで、
ジャニスの話を楽しく興味深く聞くことができました。
3人で、とても楽しいワークショップ前夜を過ごしました。
誘ってくれた主宰者の彼女に感謝です。

2日間の実り多いワークショップを終えて、仲良しになった参加者の一人に、
羽田までの乗り換えが一回で済むバスでの移動を教えてもらいました。
(電車だと、3~4回の乗り換えになります。)
彼女は足が不自由なので、移動が楽な方法をよく知っていました。

初めての渋谷からの高速バスは乗り場がわからず、出発時間ギリギリに着きました。
運転手さんが走る私を見つけて、待っていてくれました。
乗車中も、道路の混雑状況を丁寧にアナウンスしてくれて、
飛行機の出発時間に間に合うか不安になっていた私はとても安心しました。

降りる時に運転手さんに「とても安心して乗っていることができました」
とお礼を言うと、「そんなふうにお礼を言われたのは初めてです。
こちらこそ、ありがとうございました」と返してくれました。
お互いに気持ちの良い交流でした。

飛行機も順調に飛び、新千歳空港からJRに乗りました。
韓国に買い物旅行に行ってきた気配が満載の
たくさんの荷物を抱えた20歳前後の女性の隣に座りました。
私が座る時に軽く会釈をすると、彼女も返してくれました。

キャリーケースの他に、両腕に抱えきれないほどの荷物を膝に乗せ、
隣の私に迷惑にならないようにと気を配ってくれていることがわかります。
お化粧の濃い年若い彼女は、気遣いのできる女性だということが伝わってきます。

降りる時に、私が「ありがとう」とニッコリ微笑むと、彼女もニッコリしてくれました。
たったそれだけのことでしたが、温かいものが流れた気がしました。

東京へ出発した日から帰ってきた日のギリギリまで、
コンビニの店員さんや渋谷でバス乗り場を丁寧に教えてくれた人を含め、
出会った人がみんな感じのいい人で、たくさん「ありがとう」を言うことができました。
そんな日もあります。 感謝です。