理不尽な職場環境の中でも、「自分軸」を見失わず働き、変化を起こしていく

掲載日:2018.02.06


初めに、私の本の出版に関してお伝えします。
何人かの方たちから「まだですか?」と問い合わせをいただいています。
待っていてくださる人がいることを知って、正直うれしく思いました。
でも、申し訳ありません、「あと少し」のところで手間取っています。
2月中には出版できると思います。
もう少々お待ちください。

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さて、今回は、ベテラン(?)クライアントさんの体験談です。

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紀代子さんのコーチングを受けてから10年が過ぎました。
最初、紀代子さんは落ち込んでいた私に寄り添ってくれました。
そして、私が何を大切にしていて、どうしたいのか問いかけ続けてくれました。
無意識に自分と向き合うのを避けていた時期もありましたが、
紀代子さんが厳しく温かく寄り添ってくれて、
自分自身や自分の好きなこと、したいことを大切にできるようになってきました。
また、自分の感覚や気持ちよりもすぐに頭で考えてしまう傾向があることを改めて知りました。
10年過ぎた今は、心に残ったことや何となくもやもやしたこと(いいことも悪いことも)を温めておいて、
コーチング前に自分に再度問いかけるようにしています。
その時、自分自身はどうなのか、感覚や気持ちを大切にしています。
また、普段何気なく行っていることもコーチングの材料にできないか考えるようにしています。
コーチング中は、もやもやしていることがすっきりできたり、
自分の言動を客観的に考えられたり、わかってもらえたと感じることがたくさんあります。
時には、紀代子さんならどうするのかと、自分と真逆の性格の紀代子さんの意見を聞くこともあります。
そのときには、紀代子さんに頼るのではなく、
結局、自分がどうしたいのか考えることを忘れないようにしています。
そして、日々実践しながら感じる時間を作り、コーチングで振り返ることは、
自分の学びや満足、喜びにつながっていると思っています。
そして最後に、私はこの生活が本当に大好きで、紀代子さんに出会えたことに感謝しています。

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彼女からこの体験談を受け取って、「もう10年も経ったのか」と驚きました。
そんなに長い間続けているとは、あまり実感がありません。
でも、改めて初期のころの彼女を思い浮かべてみると、今の彼女とはずいぶん違うことを感じます。

初期のころの彼女は、風が吹くと飛ばされてしまいそうな小鳥のイメージでした。
周りの人の言動に一つひとつ反応して、気持ちが大きく揺らぐ。
時には自分を見失ってしまうほど自信を失う。
大事に扱わないと壊れてしまいそうな、そんな「はかなさ」や「か弱さ」を感じる人でした。

ところがセッションを続けていくと、私は彼女の中にある「強さ」に気づいていくことになりました。

彼女の職場は、社会的には一定の評価を受ける組織ですが、
(表面的には標榜していたとしても)実際には教育体制も企業理念もお粗末としか言いようのない、
私からすると二流三流の組織でした。

その組織の中で、頑張り屋さんの彼女は、若くして管理職となっていました。
そんな彼女が、これまでも何人もの人が「辞める」あるいは
「メンタル的に壊れていく」ような部署に異動することになった頃から、
本格的なセッションが始まったと言えるでしょう。

最初の2年ほどは、過酷で理不尽な職場環境に、私でも「もう辞めるしかないのでは」と思うほどでした。
しかし彼女は、「いざとなったら辞める」という選択肢は残しつつも、何とか耐え、乗り越えました。
その根性には私も脱帽でした。

「辞める」という選択も「メンタル的にやられる」という事態も何とか乗り越えたとはいえ、
相変わらずの理不尽さに彼女が苦しみ悩むことはその後も数年間続きました。
今でも無いとは言えませんが、たとえあったとしても、今の彼女はその環境の犠牲者ではいません。

セッションの中で仕事の話をする時、
「自分がされた理不尽なことは、どれほど悔しくても他人にはしないでおこう」という意思が、
彼女から伝わってきます。
「自分がしてほしかった関わりを、自分の部下や同僚に対して誠実に行っていこう」という姿勢を感じます。
今彼女は、相手や職場環境がどうであるかに振り回されることなく、
自分が「大切だ」と思うことを譲ることなく誠実に行っていこうと日々努力しています。

大きな責任を背負わされる忙しい環境にあっても、
彼女は極力相手の話を受け止め、相手を尊重することを意識して、仕事の采配を振るっています。
彼女の話を聞くたびに、「彼女の部下は幸せだ」と感じます。
「こんな人がリーダーでいてくれたら、どれほど気持ちよく自分の能力を発揮できるだろう」と思います。

時間のない中で瞬時に判断をして事を進めていく過程で、時には強い言葉になることもあるようですが、
極力、自分の気持ちや意見を、(臆病でも威圧的でもなく)おだやかにしっかりと伝えようと努めています。

たまにはセッションの時間に、組織のトップや同僚への愚痴や憤りを吐き出しながら、
最後には自分のやるべきこと・やっていきたいことを明確にして、心を立て直していきます。

今、彼女は管理職として、職場の環境を変え始めていることを、私は感じます。
彼女の「あり方」が、『変えられるとは誰も思えなかった職場の雰囲気』を徐々に変えています。
彼女は人に強制することはありませんが、
彼女の「人を尊重し、話し合いながら物事を進めていく」という姿勢は、
多くの人たちに「大切な何か」を伝えているように私には感じられます。

彼女が今の職場でその影響力を行使して職場環境を変えていくということは、
そこで働く人たちばかりでなく、
そこから恩恵や不利益を被る多くの一般の人たちの人生に影響を与えることになります。
それくらいすごいことを彼女は、あえて自己主張することもなく淡々と行っています。

10年もセッションを受けているなんて「依存的な人なのではないか」と誤解されるかもしれません。
私は、そこは明確に否定します。
依存的どころか、ここ数年の彼女のセッションの受け方は常に能動的であり、
セッションの時間を彼女なりの工夫によって最大限に有効活用しています。

彼女は常に人として成長し続けることを目指し、
その成長のために自分にチャレンジし続けているとても賢明な人です。

自分の「失敗」や「至らなさ」と向き合う『勇気』と、そんな自分を責めすぎない『寛容さ』を持ち、
更なる成長のために真摯に努力を続ける彼女の姿勢を、私はリスペクトします。
このような素晴らしい人の人生を伴走させていただくことに感謝の気持ちを抱きます。

自分を幸せにする方法を知っている彼女は、
身の回りにお気に入りの物を置き、心地よいものを身に着け、
行きたいところに行き、会いたい人に会い、体験したいことを体験しに行くことを大事にして、
プライベートも充実しています。

風に飛ばされて羽を折り、飛べなくなりそうだったあの小鳥が、
今では美しく凛とした丹頂鶴(タンチョウヅル)になったように私は感じます。

震えていたあの小鳥が、こんなに優雅に大空を舞うようになるなんて・・・。
そのプロセスの目撃者として共にいられた幸せを、私は今かみしめています。