なぜ、生きるのがこんなに苦しいのだろう
掲載日:2026.03.10
今回から、(たぶん)5回くらいの連載で、
「生きるのが苦しい」・・・このことが、
「(子どもの頃や今の)親との関係」に起因しているのではないか、
もしそうなら、どうしていけばいいのか、
ということをできるだけ丁寧に書いていこうと思います。
今まさに理由がよくわからないまま苦しみを抱えている人に、
少しでも苦しみから抜け出せるヒントを伝えられたら嬉しいです。
セッションを終了して今は自分の人生を生きているクライアントさんも、
今まさにセッションを受けて少しずつ自分を取り戻し変化してきているクライアントさんも、
自分を振り返るつもりで読んでいただければと思います。
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生きることが、なぜこんなに苦しいのだろう。
そんなふうに感じたことのある人は、実は少なくないと思います。
特別に辛い出来事があったわけではない。
大きな不幸があったわけでもない。
それでも、どこか息苦しさを感じながら毎日を生きている。
周りから見れば、普通に生活しているように見えるかもしれません。
仕事をして、家庭を持ち、人と関わりながら暮らしている。
けれど心の奥では、「なぜこんなに疲れてしまうのだろう」と感じている人がいます。
その理由がよくわからない。
ただ、ふとした瞬間に、子どもの頃の親との関係が頭をよぎることがある。
もしかしたら、あの頃の経験が何か関係しているのではないか。
そんな、うっすらとした感覚を抱いている人もいるかもしれません。
子どもにとって、親はとても大きな存在です。
私たちは親との関係の中で、自分の感じ方や、
人との関わり方を少しずつ身につけていきます。
例えば、親の期待に応えようと一生懸命だった人。
親を心配させないように、自分の気持ちを後回しにしてきた人。
家族の中で波風を立てないように、周りに合わせることを覚えてきた人。
そうした生き方は、その場を生き抜くための大切な力でもあります。
けれど大人になったあとも、その習慣のままでいると、
いつのまにか自分の気持ちが見えにくくなってしまうことがあります。
以前、ある方がこんな話をしてくださいました。
結婚を考えた時、「不幸そうな母を置いて、自分だけ幸せになってはいけない」
と感じたそうです。
その思いから、本当に好きだった人ではなく、別な人を選んだと言います。
その時は、それが自然な選択のように思えたそうです。
けれど結婚生活の中で、どうしても幸せを感じられない自分に気づいた時、
ふと立ち止まりました。
「私は、自分の人生ではなく、母の気持ちを中心に結婚を選んでしまったのかもしれない」
そう思った瞬間、これまで感じていた生きづらさの理由が、
少しだけ見えた気がしたと言います。
子どもは時々、気づかないうちに親の人生を背負おうとします。
そしてその優しさが、自分の人生を苦しくしてしまうことがあります。
私のクライアントさんの中には、セッションを始めた頃に、
「なぜ生きるのがこんなに苦しいのかわからない」と話される人が多くいます。
お話を丁寧に聞いていくと、
子どもの頃の親との関係が心に浮かんでくる方は少なくありません。
もちろん、どの家庭にもそれぞれの事情があり、
親もまた精一杯生きてきた存在です。
それでも、自分の気持ちを抑え続ける関係の中で育った人が、
大人になってから息苦しさを感じることは、
決して珍しいことではありません。
そのことに気づき、自分の気持ちを少しずつ大切にできるようになると、
人の表情はゆっくりと変わっていきます。
親との距離を少し見直してみたり、
これまで気づかなかった自分の気持ちに目を向けてみたり。
必ずしも大きな行動を起こすわけではありません。
けれど、自分の心に意識を向け始めた時、
「息がしやすくなった」と言われる方がいます。
長い間、自分でも気づかないうちに息をつめて生きていた人が、
初めてゆっくり呼吸をするようになる。
そんな変化を、私は何度も見てきました。
もし今、生きることが苦しいと感じている人がいるとしたら、
その苦しさはあなたが弱いからやダメだからではなく
これまでずっと一生懸命に生きてきたからなのだと思います。
人生を大きく変える必要はありません。
ただ、自分の心の声に少し耳を傾けてみること。
そして、もしかしたら子どもの頃の親との関係が影響しているのかもしれないと気づくこと。
人は、自分の苦しさの理由に気づいた時、
初めてゆっくりと呼吸を取り戻していくのかもしれません。
これまで自分以外の人に向けていた優しさや配慮を、
ここからは自分自身に向けることから始めてみませんか。


