アドラー心理学『嫌われる勇気』  …  親子関係・人間関係に最強 

掲載日:2016.08.23


20日土曜日は、アドラー心理学『嫌われる勇気』の読書会をしました。札幌や京極からの参加者が「家を出てくる時には、降っていませんでしたよ」と言っていた雨が、こちらでは朝からしっかりと降っていました。「さすが紀代子さん」と言われますが、皆さん、私が何かするときに雨や雪になるのはもう慣れっこという感じです。

岸見一郎さんのアドラー心理学『嫌われる勇気』は、サラサラと読めば読んでしまえるような本です。でも、サラサラと読めた人は、きっと何もわかっていないし学んでいないのだと思います。読んでいて、つっかえたり納得できなかったり辛くなったり、ということが起きないとしたら、それはこの本を本当には読んだことにはなっていないと思います。

看護の仕事をしている参加者の一人が「今、職場でもアドラーブームなんです」と教えてくれました。そして、彼女が普段からその言動に問題を感じている上司が、「『嫌われる勇気』はバイブルなのよね~」と言うのを聞いた時には思わず絶句したそうです。そのくらい「わかったつもり」になるのが容易な本だと思います。でも、自分の身に引きつけて、しんどい思いやつまずく体験もしなければ、本当の理解には至れない本だと思います。そのくらい深くてこれまでのやり方や常識から抜け出さなければ理解には至れない内容だと思います。だからこそ、読書会と言う形で、みんなで学び合うことが必要だと私は感じました。

例えば、「自立」とはどのようなことを指すのか?など、それぞれからの疑問・質問にひとつひとつ丁寧にみんなで向き合い意見を出し合っていきます。

「自立」については、「私たちは『がんばれ!』と言われ続けてきて、『何でも一人でやらなければならない』と思いがちだけれど、実はいろんな人に助けてもらわなければならないことは少なくないよね」「基本的には自分が頑張るけれど、上手に助けてもらうことも必要だよね」「私たちは、『助けてもらっていいんだよ』とは教わってこなかったね」などと対話は進んでいきます。結局、私たちは、「自立とは、基本は自分が頑張るけれど、同時にいくつもの選択肢を持っていて、それらを自分で選んで適切に助けてもらいながらやっていくこと」というような結論になりました。(参加者ののみなさん、こんなんで間違っていませんか?)

こんなふうに進んでいくので、なかなか先には進めません。2年ほど前から3~4カ月に1回開催している『嫌われる勇気』の読書会ですが、なかなか終わりそうにありません。もとより私がこの本の読書会をしようと思ったのは、サクサクと読み進めることは全く念頭にはなく、みんなで深く読み進めていくために始めたことでしたので、願った通りになっています。

例えば『課題の分離』は、ある人は「この概念を知って、人間関係がぐっとラクになった」「どんなに理不尽なことを言われても、それはあの人の課題であって私は自分の仕事をしっかりとやっていくだけ、と思えるようになって感情に巻き込まれなくなった」と言っていました。子どものことで悩んでいたお母さんも、何かあると「課題の分離」「課題の分離」と呪文のように唱えて余計な踏み込み方をしなくなって子どもとの関係が良くなったと言っていました。このように本当に理解して、しかも実践した人には、アドラーさんからステキなプレゼントとして親子関係や人間関係がグンと良くなりラクになるという結果がもたらされるようです。あとは、本気で『実践する勇気』ですね。

会を重ねるごとに、参加者の読みに深みが加わっていくことを感じます。特に今回は、各自が職場や家族の間でしっかりとこの学びを実践していることをシェアしてくれて、その実践力に何度も頭が下がる想いがしました。この人たちは本当にこの本を、アドラー心理学を理解して実践している数少ない人たちなのだと、リスペクトの気持ちになります。それでも、「一人で読んだだけではここまでには至れなかった」「やっぱりみんなで深めてきた結果ですね」という感想をもらって、私もやってよかったと感じています。

次回はたぶん、12月になりそうです。それまでの間に、みんなが各自の現場でさらに実践を重ね、生きるのがラクに幸せになってくれることを楽しみにしています。そして何よりもみんなの実践者としての姿が、私もうかうかしていられないぞ!という気持ちにさせてくれます。毎回参加してくれ私に刺激を与えてくれる仲間たちに感謝です。