Nさんと 娘のRちゃん

掲載日:2023.04.25


紀代子さんから、体験談を書いてみませんか、とお話を頂きました。
2回目になります。1回目は2021.09.28でした。
「着信に「母」と表示されるのを見ただけで」というタイトルでコラムに掲載して頂いています。

私が紀代子さんのセッションを受け始めたのは、2020年12月でした。
現在、2年半が経過しています。

前回の体験談からは1年半。
前回は、自分が過去つらかったこと、そして私自身が元気になってきて順調に回復している姿を書きました。
その後起きたことになります。

私が元気になっていくにつれて、娘の元気がなくなってきたのです。
中学3年生になった頃でした。
それまでは何も言わず学校に行き、真面目に勉強をし、好きなゲームをやり、
私のために料理のお手伝いをしたり、私と一緒にショッピングに行くような
特に問題のない子でした。学校の面接でも何も言われたことはありません。

ちょっと心配なのは、生まれた頃から食が細く、身長が158㎝で体重が38㎏と痩せていることくらいでした。
これには、ご飯の量を増やしたり、高カロリーのものを取り入れたりしましたが
食べることができず、全く体重が増えずに終わりました。

ある日、部屋でボーっとしている娘に、何気なく「勉強しないの?」と聞いてみたら、
「やろうとしているけど、集中できない、やらないといけないのに、できない」と
静かに涙を流し始めたのです。
思い返してみれば、だんだん笑顔が減っていました。
明らかに食欲も減っていましたし、ゲームもやらなくなっていました。

私も心を病んでいたのですぐに気付きました、これは娘も心を病んでいるのだと。
理由はわかりませんでしたが、そう確信して、すぐに紀代子さんにお願いしようと考えました。

実は、紀代子さんの勧めもあって、「私はカウンセリングを受けている」という話を娘にしていました。
「母の言動で傷ついた自分を癒して元気になるため、カウンセリングしている」ということを娘に伝えることで、娘も安心していました。
ですので、娘に「紀代子さんのカウンセリングを受けてみる?」と聞くのは容易でした。

娘はちょっとだけ考え、すぐに「受けてみる」と答えました。

自分がカウンセリングを受けていたので、娘が受けるのをサポートするのは難しくなかったです。
安心できる部屋を用意し、そこにお茶やティッシュを置きました。
また、終わってからは娘から話しかけるまではそっとしておくので、部屋でゆっくりしていいんだよ、と伝えました。

紀代子さんも最初に親子でカウンセリングを受ける時に気を付けることを教えてくれたのもあり、
スムーズにカウンセリングを受けることができました。
私は娘が紀代子さんと何を話しているのか、基本的には知りません。

娘がカウンセリングを受け始めてからすぐに変化が現れました。
まず、私に対して、「さびしい」「小学校の頃はこんなことが嫌だった」「こんな時はこうして欲しい」
「あれがつらい」「これがつらい」などと、色々なことを話してくれるようになったのです。
最初はぽつぽつと、次第に泣きながら話してくれます。
私の方だって戸惑い、あの時はそんなつもりはなかったとか、ごめんねとか、泣きながら答えます。
そんな風にお互いに泣きながら、夜中まで何時間も話していることも多かったです。

そんなことを3か月ほど続けたら、娘がだんだん自己分析を話すようになりました。
「お母さんが元気がないのが嫌だから、常に元気づけようと気を張っていたら疲れたんだと思う」とか
「学校で友達だと思っていた人が、実は私を下に見ていてマウントを取っているだけで本当に嫌い」とか
自分が思っていることを素直に感じることができるようになってきたのだ、という感じです。

そこから更に2か月くらい経つと、娘は「自己評価が低く、人にカモにされやすい自分」に気付き始めました。
人に嫌なことを言われても我慢する、人にけなされても我慢する、言いなりになる、そんな風です。
それは、私が母に嫌なことをされても我慢し、けなされても我慢し、言いなりになっているのを見て育ったからだと確信しました。
私が我慢すればいいと思っていたことが娘を不幸にしていたのだと私が気付いたのです。

そこからの回復は親子共にかなり早かったように思います。
相乗効果です。
私が元気になった分、娘も元気になり、娘が元気になった分は私も元気になるのです。

今でも私と娘はまだ回復の途上にあるため、
「こんな自分じゃダメかも…」
という思考に支配される時があります。
しかしお互いに、
「いやこれは呪縛だ、私たちは悪くないよね」
と言い合い、自分たちで心を立て直すことができるようになりました。

これも驚いたことですが、娘は心が元気になってくるのと比例して、食べるご飯の量が増えています。
一番少なかったころの2倍は食べています。
おそらく体重もそのうち標準になるでしょう。
ストレスによって食べられなかったのですね。
生まれつき食が細いと思い込み、私も本人もストレスが原因だと気付いていませんでした。

さて、私がカウンセリングを受け始めたのはコロナの頃でした。
今もまだ母には会っていません。丸3年会っていないことになります。
一度電話でキレて過去嫌だったことを散々ぶちまけ、
父にも「私にも我慢の限界がある」と泣いて叫びました。

それ以降どうなったかと言うと、
まず私からは一度も電話をしていません。
母から誕生日や入学祝等が届き、その後に電話がかかってきたりします。
以前の電話での母は、嫌味満載で「どうせ私が悪いんでしょ」とすぐに言っていましたが、
今は一切嫌味を言ってきません。
たまに言いそうになっていますが、自分で気付いて慌てて方向転換しています。
和やかに電話が終わります。
先日は、「コロナも終わったし入学祝が渡したいから会おう」と言ってきたのですが、
実際に予定がいっぱいだったのもあり断ったら、
「じゃあ郵送するからまた会える時に会おうね」
で終わりました。
ちなみに、娘はまだまだ会いたくないらしく、「私は会いたくなかったから断ってエライ」と褒められました。

父は以前は一切電話をかけてきませんでしたが、今はたまに用事もなくかけてきて、
元気ならそれでいいと言ってくれます。

何かしら両親の方でも変化が起きている気配がします。

よく、「相手を変えることはできない、自分が変わるしかない」という言葉を耳にします。
その「自分が変わるしかない」は、「自分が我慢するしかない」の意味だと思っていましたが
これは大きな間違いだったとわかりました。

ひと言で言うなら、「感じたことを素直に感じ、思っていることを素直に口にする」ことが大切だったのです。
ただ、思っていることを素直に口にしたら大変なことが起きる幼少期を送ってしまったがゆえに
それが出来ないことが不幸を招いていたのだとわかりました。

私と娘も仲はよかったけれど、お互いに感じていることも思っていることも一切しゃべっていなかったのだと
お互いに泣きながら話している時に感じました。

友達関係や会社関係で思っていることを素直に口にすることはできない…と思いがちですが、
結局のところ、嫌なことも希望も伝えなければ相手にはわかりません。
勝手に我慢して勝手に傷ついていることがあまりにも多くて驚きました。
それに、友達にも気を使いすぎていました。母の機嫌を損ねないようにしていた弊害です。
気を使いすぎるのをやめたら、友達が増えて誘われることもとても多くなりました。

月2回45分、私と娘が紀代子さんに話を聞いてもらっている時間です。
娘とは紀代子さんのことを「キヨちゃん」と呼んでいます。
「キヨちゃんに話を聞いてもらってるだけなのに、なんで元気になったんだろう…」
「不思議だよね…」
「不思議だね」
なんて会話をしています。
一人当たり、月90分だけです。それだけでこんなに変わるのでしょうか。
本当になぜなのかわかりません。
でも元気になりました。

私は2年半の定期カウンセリングを終え、不定期に受けることになりました。
娘はまだ受けたいとのことで、続けます。

娘が「次のキヨちゃんは2週後の日曜の9時からになったよ!」と言い、
私が「はーい、カレンダーに書いておくね」と答えます。
こんな風に気軽にカウンセリングが受けられて本当によかったなと思っています。
ありがとうございました。