幸せを感じると、罪悪感が

掲載日:2025.05.20


愛知県に住むYさんは、母親が2年前に亡くなっていますが、
「亡くなってもなお束縛されているようで苦しい」
「いまだに母親のことを好きになれないことで自分自身を『酷い人間だ』と責めてしまう」
「ちゃんと自分の人生を生きていけるようになりたい」
と、1年前からセッションをスタートしました。

主に母親のことで苦しんでいましたが、
その他にも父親に対する微妙な気持ちや夫との関係でも苦しんでいました。

半年程度セッションで一つ一つの問題に丁寧に向き合っていくうちに
Yさんは徐々に苦しみから解放されていきました。

そんなYさんの趣味はマラソンです。
マラソン歴は10年で、フルマラソンの大会にも出場しています。
マラソンはいろいろな面でYさんを幸せにしてくれるようでした。

そして今は、色々な面で心が軽くなり、
大好きなマラソンを自由に楽しめるようになりました。

ところが最近になって彼女は、
自分が幸せを感じると罪悪感が生じてくることに気づきました。

Yさんのセッションは、次のステージに進み始めたようです。

そんなYさんから去年の12月に、
「5月に北海道に行くかもしれません。
ルール違反でないなら、お会いすることはできますか?」
と尋ねられました。

はっきりと確認はしていませんが、臨床心理士は倫理規定で
個人的にクライアントさんと接触することは禁じられているようです。
個人的にクライアントさんと接触することはリスクが想定されるからです。

でも私は臨床心理士ではないので、その規定に縛られません。
私はリスクを負うことも覚悟の上で、自分が良いと思うことに従っています。

ちなみに、その規定ってけっこう都合よく破られていて、
クライアントさんと恋愛関係になったり結婚したり破綻したり、
ぐちゃぐちゃな心理士さんってけっこういることを知っています。

そのようなことになること自体は人間っぽくて悪くはないと私は思っていますが、
指導的立場の人たちもけっこう「おきて破り?」をしているのを見ると、
大事なことは規定ではなく「自分自身がどうあるか」なのだとしみじみと思います。

ただし私も、誰でもホイホイと会うということではなく、
そのクライアントさんにとって会うことが良い方に作用すると感じられ、
かつ、一緒に楽しく時間が過ごせると思える場合には会うこともあります。

とは言っても、セッションはすべてオンラインでしていて、
遠方の方たちばかりなのでめったに会うことはありません。

これまで北海道外のクライアントさんで直接お会いしたのは、
私が学会で仙台に行った時にお会いしたMさんだけです。

その時には、Mさんの大きくなったお腹を触らせてもらい、
生まれてくる子の幸せを願いました。

ということで、道外のクライアントさんで直接お会いしたのは、
Yさんが二人目ということになります。

Yさんは苫小牧で行われたハーフマラソンに参加するために先日来道しました。
大会は日曜日に開催され、女子の部で127人中上位10位以内に入りました。
すごいですね!

昨日(月曜日)にお会いした「ナマYさん」はハツラツとしていました。
以前は黒髪でしたが、軽く茶色に染め、ふんわりとパーマをかけたYさんは、
とっても可愛らしくなっていました。

子どもが3人いて仕事もしていた立派な大人のYさんですが、
両親が許さなかったため、これまで髪を染めることはありませんでした。

昨年末に父親も亡くなり、反対する人がいなくなったため
思い切って染めてパーマをかけたということでした。

髪の色一つでも、こんなに解放され、見かけも気持ちも軽やかになるものだと、
Yさんを見てつくづく思いました。

ランチのレストランは、気持ちもスペース的にもゆったりと過ごせるところを選びました。
壁一面が窓で、広大な敷地に羊たちがゆったりと過ごしているのを眺められます。

たくさんの羊の親子がいて、特に子羊たちがコロコロとじゃれ合ったり甘えたり、
そんな姿を微笑ましく眺めながら二人でたくさんおしゃべりをしました。

セッションとはまた違った空間で、私もたくさんおしゃべりをして、
私の変人ぶり(!)に何度も大笑いをしながら楽しい時を過ごしました。

〆は私のお気に入りのソフトクリームです。
市内の牧場に移動して、私はいつものカフェコスタドーロ、
Yさんはマスカルポーネのソフトクリームを食べました。

Yさんは何を食べても「美味しい」「美味しい」と感激して、
それが心からの言葉だと伝わってくるので
私としても「お連れして良かった」と思いました。

Yさんは日本各地のマラソン大会に参加していますが、
北海道の大会に参加したのは初めてだそうです。

走るコースも北海道らしい素晴らしいコースだったそうで、
主催者側のおもてなしにも感動したということでした。
「また来たい」と言っていました。

今回は一人で参加したYさんですが、
Yさんの北海道満足感満載の感想を聞かされたお仲間たちは、
きっと来年は「私たちも行きたい!」と言うこと間違いなしだろうなと
Yさんの幸せそうな笑顔を見ていて思いました。

北海道に来てから何度も「幸せ!」と感じたとステキな笑顔で言うYさん。

そして「自分が幸せでいることに罪悪感を抱く」というYさんのセッションが、
次回から始まります。

Yさんが何の負い目を感じることなく幸せを感じられる日が一日でも早く来るように
Yさんの中に巣くっている「罪悪感」の根と向き合っていきたいと思います。