嬉しい報告
掲載日:2025.12.16
兵庫県に住むSさんから、嬉しい報告をいただきました。
先月、予定日より一か月早く、赤ちゃんが生まれたそうです。
「出産準備も途中だったので、てんやわんやしつつ、元気にしています」と
報告をもらいました。
「親ともすでに喧嘩して仲直りして、今いったん落ち着いています(笑)」
という報告に、「Sさん、たくましくなったな」と驚きと共に嬉しく感じました。
お母さんと喧嘩ができるまでになったなんて、
セッションを受けたころのSさんには想像もできないことです。
仕事を持ちながら、週末には毎週夫を置いて何時間もかけて実家に帰っていたSさん。
実家に帰るたびに叱責する母親の前で、うなだれることしかできなかったSさん。
大好きな人と結婚したのに、「離婚して帰ってこい」という母親に何も言い返せず、
「離婚して実家に帰ろうと思っている」というSさんの言葉に、私は驚きました。
そんなSさんがセッションを受けようと思った動機は、
「母親を怒らせない自分になりたい」そのようなものだったと記憶しています。
他にも様々な「母親の支配ぶり」に、さすがの私も毎回驚くばかりでした。
しかも、それが「おかしなこと」だと、Sさんは認識していませんでした。
私はそんなSさんにも驚きました。
そんな重症だった(笑) Sさんは、当初もちろん、子どもを持つなんて考えもしませんでした。
子どもを持つ持たないは本人の自由ですが、
親に心を支配されたままでの決断には、いささか違和感を覚えた私です。
セッションを進めていっても、当初はSさんの母親からの呪縛を解くことは至難の業でした。
それでもSさんはセッションを受け続けてくれたのが、私にとっては救いでした。
Sさんのようにかなり強烈に親に支配されてしまった人は、
親と距離を置くことや境界線を作ることは「恐怖」としか感じられないことが多いです。
ですから、「そんな恐ろしいこと」をするくらいなら、
これまで通り親の支配のもとにいることを選ぶ人もいました。
実家に帰るたびに発作を起こして救急車で運ばれるという人がいました。
それくらい本人にとって母親のもとに帰ることがダメージであるにも関わらず、
「母親と少しずつ距離を置いていきましょう」という私の言葉のほうが、
本人にとっては「恐ろしいこと」だったようで、
セッションを受けることをやめた人もいました。
これまで数人、そのような人がいました。
母親に罵倒され支配される「苦しみ」はあるけれど、
母親と距離を置くという「恐怖」よりは、
慣れ親しんだ「辛さ」を選ぶ人たちがいます。
そのような人たちを否定することはできません。
子ども時代からの精神的支配から抜け出すことは、そう簡単ではないからです。
時々「今はどのような人生を送っているのだろう」と
彼女たちのことを思い出すことがあります。
Sさんは、それでもセッションを受けることを続けてくれて、
少しずつ、本当に少しずつ、自分の置かれている状況が
普通ではないということに気づいていかれました。
人によっては、ある段階に来ると一気に「自分の感覚」を取り戻す人がいます。
Sさんも、そうでした。
ある段階を越えた時に、彼女の瑞々しい感性がほとばしる瞬間がありました。
そうしてSさんは、少しずつ自分と夫との生活を大事にできるようになってきました。
まだ実家には帰っていましたが、帰る間隔を少し開けることができるようになってきました。
少しずつ、少しずつ、です。
そしてSさんは、今年、妊娠しました。
暑い夏のさなか、つわりが重く、セッションはしばらく中断しました。
やっとつわりの辛さが落ち着き、セッションを再開したと思ったら、
そろそろ里帰り出産のために実家に帰るということになりました。
私は正直、「里帰り出産なんて、精神的に大丈夫かな?」と思いました。
「お母さんの辛い気持ちはお腹の子に伝わるから、
辛い状況になるようなら子どもを守ることも考えてね」と
送り出しました。
実家に帰って落ち着いたら、母親のいない時に
セッションを受けますと言っていたけれど、
そうなる前に予定日より1か月早く出産となったということです。
それでも、セッションを受けない間に「母親と喧嘩して仲直りができた」なんて、
そのメールを見た時に私は思わず拍手をしてしまいました。
あのSさんが母親と喧嘩できるまでになったなんて、
Sさんは、ちゃんと子どもを守ったんだなと思いました。
やっぱり「母は強し」ですね。
Sさんのことに触れていると、思い出すのは仙台に住むMさんです。
彼女も似たような母親を持ち、仕事を持ちながら毎週末、実家に帰って、
母親に叱責されて言い返せずに、辛い気持ちを抱えて夫のもとに帰ってくる。
そんなMさんも「子供を持つなんて考えられない」と言っていました。
Mさんも、セッションを受けて、母親と境界線がしっかりと引けるようになると、
「子どもが欲しい」と思うようになり、数年前にかわいらしい男の子を生みました。
時々写真を送ってくれますが、本当にかわいらしい子です。
Mさんがちゃんと子育てしていることが伝わってくるような
心が健全に育っていることが良くわかる表情をしています。
Sさんもきっと、Mさんのように良い子育てをしていくことと思います。
私にとっては、Mさんに続き、Sさんのお子さんも、「孫」のような存在です。
北海道の「ばあば」は、二人の孫がこれからも健全に幸せに育っていくことを祈っています。


