「里親」関係の人たちと… & 「ばあば」になります♪
掲載日:2019.02.19
週末、東京で、横浜の里親さんたちの主宰するシンポジウムに参加してきました。
午前中は、アメリカの施設や里親家庭で育ち、現在はカリフォルニアの当事者の組織で
エグゼクティブ・ディレクターとして活動するアイザさんの講演を聞きました。
アメリカの里親支援や子どもの入所施設の動向やケア、思い、などについて
お話をうかがいました。
私が特に印象に残ったことは、3点です。
一つは、少なくともカリフォルニアでは、子どもたちの声を聴こうとする姿勢があるということ。
虐待などの理由で家庭で育てられない子どもたちの気持ちや意向に耳を傾けようという姿勢が、
日本よりはずっと貫かれていることを感じました。
大人が勝手にその子の措置を決めて、子どもは黙ってそれに従うのではなく、
子ども自身はどうしたいのか、何を望むのか、に丁寧に耳を傾ける必要はあると思います。
アメリカがすべて良いわけではなく、問題点もあると感じましたが、
「子どもの声を聴く姿勢」は日本でも見習いたいことだと思いました。
それは結局、その子のその後の人生の納得感にもつながることだと思います。
さらに言えば、子どもに限らず、お年寄りや障がい者、LGBTQの人たちなど、
マイノリティや弱い立場に置かれている当事者の声を聴き、
支援や施策に反映することは当然のことだと思います。
もう一点は、そのような子どもたちにかかわる人たちの専門性が、
少なくとも日本よりはずっと保証されているということ。
日本の児童相談所は、専門性を持った職員は少なく、
公務員としてしかたなくそこに配置された人も多く、
そのような体制が最近非難されている虐待への対応とも繋がってくるのかもしれません。
日本でも、虐待を受けた子どもたちの心のケアや、
その子の行き先についての専門的な見識や、里親さんとのコーディネート力など、
プロフェショナルとしての力を持った人たちが関われるようになることを願います。
もう一つは、アイザさんがお話している途中で、
何度か感情が噴き出し涙があふれてきたことです。
不適切な養育環境にあった子どもの心は、大人になっても容易には癒されないことを、
もう孫もいるというアイザさんの様子からも感じました。
どれだけ多くの子どもたちが、同じような痛みや辛さを抱えながら生きているのだろうと思うと、
改めて胸が痛みます。
そのようなことを感じながらのアイザさんの講演の後は、
お昼をはさんで僭越ながら私の講演と、それに続いて
「里親家庭に育った実子」の方たちの声を聴くという流れでした。
親が里親となり、里子たちと暮らす実子の人たちはどのようにその環境を受け止めてきたのか、
その環境はその後の人生に影響を与えたのか与えなかったのか、など
なかなか興味深い、こちらの視野を広げてくれる声を聴かせていただく貴重な機会となりました。
そのような土曜日1日を通してのイベントに参加するため、
前日から東京入りをした私は、今回初めて娘のアパートに泊めてもらいました。
高円寺にあるロフト付きのきれいなお部屋でした。
夜は娘に美味しい食事をごちそうになり、新しい仕事の話などを聞きました。
バレンタインデーには、親しくなった外国人のエグゼクティブから、
娘のいる総務の女性たちは高級チョコレートのプレゼントをいただいたそうです。
その手渡し方のスマートさに、
「こんなステキなおじさまを知ってしまったら、ますます彼氏のハードルは高くなるわ」
と笑う娘に、母も同感です。
結婚どころか、彼氏ができることも、まだまだ先のような気がします。
そんな週末を過ごして、帰ってきた翌日にメールチェックをしていると、
半年ほど前にセッションを終了したクライアントさんからのメールが届いていました。
「赤ちゃんを授かりました」という報告でした。
「まだ3か月目に入ったばかりなので、安定期に入ってからご連絡しようと思ったのですが、
待てませんでした(笑)」という文面に、彼女の可愛らしさを感じて、クスっとしてしまいました。
彼女はかつて、お母さんとの関係でとても困難を抱えていました。
結婚をして何年も経つにもかかわらず、母親は彼女を支配し続けていました。
仕事を持っている彼女は、週末には必ず母親のところに行き、母の要求に応え、
それでも気に入らないと罵倒され、打ちひしがれて帰ってくるということを繰り返していました。
にもかかわらず、彼女は母親から離れることができずにいました。
これまでも離れようと思いながら、何度も途中で挫折したという彼女でした。
「もう限界」と彼女が感じた時に、私との縁がつながりました。
なかなかパワフルなお母さんで、その反撃に彼女の感情も大きく揺れ続けました。
彼女はとても心根の優しい娘さんで、「こんないい娘をそんなふうに傷つけるなら
私がもらっちゃうよ」と思うほどでした。
「哲学者の陰には、悪妻がいる」と言われますが、
悪母には心根の良い娘が育つのでしょうか?
思いやりのある、とてもステキな娘さんでした。
私とのセッションに支えられながら、彼女は母親と距離を取り続けました。
今回はくじけない娘に、母親の方が音を上げて、少しずつ変わってきました。
1年間のセッションを通して、彼女は母親の支配から抜け出し、
夫との生活を大事にすることができるようになり、セッションは終了しました。
半年を経て、いまだに彼女を悩ますこともある母親ではありますが、
彼女は以前のように母親に恐怖心を抱いたり緊張するということが無くなり、
母に何かを言われた時にも、自分の思いを伝えられるようになったそうです。
「そんな精神的な安定が今回の妊娠に繋がったような気がします」と書いてありました。
夫の両親も彼女の親も、とても喜んでいるそうです。
「この子のおかげですでに幸せをもらっています」と書いてありました。
そのメールをもらった時、私は穏やかな嬉しさを感じ、
そして何とも言えないような幸せ感に体中が満たされました。
初孫の知らせを受けた人って、こんな感じになるのでしょうか?
彼女に「おめでとう」の返事をして、最後に「第3のばあばより」と書いたら、
すぐに「紀代子さんが『第3のばあば』だなんて、めっちゃ嬉しいです!」と返事がきました。
本当に、かわいい子です。
血がつながっていなくても、私には孫ができます。
とても幸せな気持ちに満たされています。