集中視野と周辺視野

掲載日:2022.11.08


先月末、1週間のオンラインでの海外研修が終わりました。
毎度のことながら、時差の中をよく頑張ったと思います。

1週間 セッションのお休みをいただいた分、
クライアントさんたちにはその成果を還元できると思います。

とは言っても、潜在意識に関することなので、
明確に意識はできないレベルかもしれません。
しかしその人にとって重要な変化につながると思います。

研修中に、学びとは別に私が感じたことがあります。

午前中は講義やリアルなデモセッションがあり、それを観て学びます。
夜の部は、学んだことを私たち自身を使っての練習の時間になります。

少人数に分かれて練習をする中で、
たとえオンラインであってもそれぞれの人柄や特徴がわかってきます。

研修仲間の多くは、臨床心理士、公認心理士、精神科医などです。
しかもリアルに海外に行って心理療法を学んできた人も少なくありません。
いくつもの心理療法の資格を持ち、英語はペラペラという優秀な人たちには
素直に「すごいな」と思います。

同時に、ちょっとした違和感を覚える瞬間がいくつかありました。
自分で言うのもなんですが、私は感度を磨き続けているので、
普通の人が気づかない違和感を感じ取ってしまうことがよくあります。

セッションの時には、クライアントさんが醸し出すその違和感に気づくことが役に立ちます。

今回の研修で感じた「ちょっとした違和感」は、
セッションの時に使うものとは少し違う「ちょっとした気づき」のようなものです。

大学で心理学を学び、心理臨床の現場で仕事をしている人。
大学院まで進み心理学や心理療法を極めてきた人。
ルートは多少違っても、大学から心理学の道へ入ってその道を歩み続けてきた人たちは、
私のように回り道をしていろいろな体験をしてきたり、
他の職種(ボディーワーカーなど)で活動している人たちと、
雰囲気と言うか、視点というか、何かが少しだけ違うことを感じました。

もちろん心理一筋に歩んできた人全員に当てはまることではありません。
しかし、心理一筋に歩んできた人に、ある傾向を感じました。

今回の研修では、「目」や「視野」に関することも学びの対象としてありました。
その時に使われていた言葉は「集中視野」と「周辺視野」です。

「集中視野」とは、そのこと1点に焦点を当てて見ることです。
「周辺視野」とは、その1点の周りのことにもふわっと焦点を当てて見ることです。

ここから先は私が感じたことなので、事実かどうかはわかりません。
その点は承知の上で読み進んでください。

研修ではクライアントさんの目の使い方に意識を向けることを指摘していました。
つまりクライアントさんがものを見る時に、「集中視野」か「周辺視野」か、ということです。
それを聞いて私は、セラピスト側にも同じことが言えるのではないかと思いました。

私が感じた違和感と言うか「ちょっとした違い」は、
研修で使われた言葉を借りれば、心理一筋で歩んできた人は、
クライアントさんを「集中視野」で見がちだということです。

あえて言えば、クライアントさんの「痛みや問題」に強く焦点を当てるということです。
そのための研修をしているのですから、それは当たり前のことです。

しかし同時に、私自身が無意識にしていたことは、
これも研修の言葉を使うと「周辺視野」も使っていたということです。

気づけばボディワーカーなど他職種からこの道に入った人も
総じて「周辺視野」的にクライアントさんを見ていることを感じました。
(もちろん、どちらの分野も全員ではなく、そうでない人もいます。)

そこに微妙な違いが生じてくることに、今回私は気づきました。

医療を例にすると、患者さんの病気だけをピンポイントで診ている医者と、
もちろん病気は診ているけれど、同時に家族関係や仕事、生き方など
患者さんの置かれている環境を含めてその病気を診ている医者
との違いというところでしょうか。

「体」にしても「心」にしても、それを「集中視野」で見るか「周辺視野」も同時に使うかで、
その「病気」や「痛み」や「問題」へのアプローチが少し違ってくるような気がします。

その分野の専門知識はもちろん必須ですが、
同時に「人としての幅」というか「人と向き合う時の視点の広さ」というか、
そのようなことも人様の人生をサポートする時には重要な要素なのだと今回感じました。

今回の研修中も、練習メンバーは何度か入れ替わりました。
その度に「紀代子さんと一緒で嬉しい」と熱い眼差しで言われることが何度かありました・

それはもちろん私自身も嬉しい言葉ですが、
それはきっと私がその人の「問題や痛み」だけに意識を向けているのではなく、
無意識にその人の中にある「ステキな部分」や「可能性」を見ているから、
つまり「善きもの」にも私は目を向けているから、
そこを彼らは感じ取って、私と一緒にいると何か違うと感じてくれたのだろうと思います。

今回の研修でも、基本はその人の潜在意識にある「痛み」を
どのように解消していくかを扱いました。

でも同時に私は、潜在意識にあるものは「痛み」だけではなく、
その人の中の「善きもの」や「可能性」も出番を待っていることを常に感じています。

それは、私がセラピーだけでなくコーチングマインドを持っていることも
一因のような気がします。

これは、コーチングを希望して来られる方に対しても同じです。
ご自分の「可能性」や「叶えたい夢」のためにコーチングを受けますが、
私はその時にその人が気づいていない潜在意識にある「痛み」や「傷」に気がつきます。
(セラピーと逆パターンですね。)

潜在意識の中に痛みを抱えたままでは、
いくら前に進もうとしても「夢の実現」のブレーキとなります。

こうして私は、コーチングを希望して来られた方にも、
必要と感じられればセラピー的に関わらせていただき
潜在意識にある「心のブレーキ」をはずすお手伝いをします。

セラピーであってもコーチングであっても、私は常に
クライアントさんの「痛み」や「問題」の解放・解消を目指すと同時に、
彼らの中に眠っている「健康な部分」や「善きもの」や「可能性」が
花開いていくことを意識してセッションを行っています。

広く深く、立体的に包括的にクライアントさんと向き合って、
クライアントさんたちの未来がより良くなるお手伝いをしていけることが私の喜びであると
改めて感じています。