「死にたい」という気持ちと闘っていた10代

掲載日:2023.06.06


今回は、この春終了したRさんの体験談をお届けします。

Rさんは、大学院を出た後、国際機関や官僚としてキャリアを積んできた方ですが、
その華やかなキャリアとは裏腹にご自身のアイデンティティは大きく揺らいでいる方でした。

明らかに不当なパワハラに遭っているとしか思えないことに対しても、
「私が悪いから」と自己否定に入ることを繰り返していました。
夫との関係においても同様のことが見受けられました。

「私が悪いから」は、子ども時代に親から受けた心の傷を抱えている人には共通の反応です。

子どもは理不尽な親の態度や叱責に遭っても、
言い返すこともその場から逃げ出すこともできません。
うなだれて「ごめんなさい」と言うしか生きていくすべがありません。

それが日常的に繰り返されることによって、
「理不尽な目に遭うのは自分が悪いからだ」という思い込みが強く形成されていきます。

その歪んだ認知を修正していくのも、セッションの大きな役割です。
しかしそれはいくら言葉で説明しても、修正にはなりません。

よく言う「頭ではわかっていても…」ということです。

進化の過程で人間が発達させてきたのが「大脳皮質」です。
大脳皮質とは、前頭葉、頭頂葉、側頭葉などと呼ばれる部位の総称です。
考えたり判断したりなどの人間らしい部分を担うとも言えます。

半面で、この部分があるから人間は「常識的なこと」や「世間の目」などというものに縛られて
本当の自分の気持ちや感情に気づきづらくなっているとも言えます。

親子問題で言えば、
「育ててもらった親を悪く思うなんて、いけないこと」という「常識」が、
親にひどい目にあって辛い思いをした結果の「親への本当の気持ち」を抑え込みます。

だから毒親の本をいくら読んだとしても、頭では理解できても、
その辛さを解消することはできません。
「大脳皮質」といくら対話をしても、解決にはならないのです。

その辛さは、脳のもっと奥の部分に格納されているからです。
ここにアクセスして子どもの頃に受けた「深い傷」を癒していくには、
「頭」ではなく、既存する言葉を使うと「感覚」ということになりますが、
それらを使って傷ついた脳神経系を修復していくことになります。

Rさんは毎回真剣に誠実にセッションを受けられ、
少しずつ本当の自分の気持ちと向き合い、
深い部分に堆積していた痛みを癒し、
強固に存在していた認知の歪みを修正していきました。

自分をあきらめず、2年半という年月をかけたRさんの努力の結果が今花開き始め、
Rさんは新しい彼女らしい人生を歩み始めています。

この春には、彼女を正当に評価し生き生きと働ける会社に転職をしました。
著名な雑誌に顔写真付きでインタビュー記事が載りました。
先日は900人近い聴衆の前で講演会を行ったそうです。

いつもプレゼンや講演は緊張してこわばっていた彼女が、
今回はリラックスしてアドリブまで入れられ笑いも起こり、
質疑応答も盛り上がり、大好評だったと報告してくれました。

彼女が楽しくその場にいられて自分を十分に発揮できたこと、
そして彼女の実体験からの講演内容が多くの人に勇気を与えたことを私は嬉しく思います。

その様子が新聞にも載ったということで、記事も添付で送られてきました。
記事を読んでも、素晴らしい講演だったことがわかります。

子どもの頃の深い痛みや傷を癒していくことができれば、
本来のその人らしい人生を幸せに歩んでいくことができます。

そんなRさんの体験談をお読みください。

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事あるごとに「死にたい」という気持ちと闘っていた10代、「毒親」という言葉にたどり着いてセラピーを受けたり本を読み漁った20代、そして30代で妊娠。母親になることが怖かった。母から愛されなかったのに、私は子を愛せるのか?愛って何?それでもお腹はどんどん大きくなり、出産。産後すぐに、母との間である事件が起き、このままだと子供に負の連鎖が起きる、どうしよう!どうにかしなきゃ!

藁をもすがる思いで、紀代子さんのセッションを受け始めました。セッションを重ねながら、色んな思い込みやトラウマを解放していき、母を諦めることが出来るようになりました。何かが起こればすぐに紀代子さんのもとに駆け込んで、コロナ禍での子育てと自分の安定を求めて必死にもがきました。大きな気づきを得て、「もう大丈夫」と思っても、またすぐに闇落ちすることもありました。紀代子さんから「螺旋階段のようなもの。落ちたと思っても、全体で見れば少しずつ上向きになっているのだから大丈夫よ」と言われ、その言葉を信じてなんとかここまでやってきました。

気づいたときには、何かあったときに紀代子さんの助けを求めずとも、自分で気持ちを落ち着かせて、母や夫との対応も出来るようになりました。気づき→怒り→諦め→それでも自動反応してしまう、ような状態をぐるぐる回っていた時には、「母ともう話したくない。距離を置きたい」と思ったし、夫とも「離婚したい」という感情が頻繁に出ていました。実際に、母とのLINEグループを抜けたり、夫と別居するための物件を探しに行ったこともあります。
でも、それを越えた先には、「まぁ、どっちでもいいや」という境地に至りました。近くにいても遠くにいても私には関係ない、といいますか、「私とは違う人間で、彼らには影響されない」という健全な精神と境界線が出来上がった感覚です。今では、嫌なことをされたら、きちんと怒りを表現できるし、相手とも冷静に話し合えるし、あるいは「こんな人だよねー、まぁ仕方ない」と流せます。昔はいちいち傷ついたり、自分を責めたり、被害者面したりと、すごく大変でした。この先、もしかしたら、またそっち側に戻ることがあるかもしれない、でも、きっとすぐ自分で戻ってこられるな、という自信があります。

紀代子さんのセッションを受け始めたときは、自分がこんなところまで来られるとは思ってもみなかったです。でも、本気で自分と向き合い未来を変えていく覚悟があれば、絶対に到達できます。だから、勇気をもって是非飛び込んでみて欲しいと思います。一人でも多くの方が、自分の人生を心から楽しんで歩めるようになることを、祈っています。