心が歪んでいく……「せやろがい!」

掲載日:2020.03.31


志村けんさんが亡くなったこと、けっこうショックです。
命の重みに違いはないけれど、他の俳優さんでもなく「志村けん」さんが亡くなったことは、
私たちにまた違ったインパクトがあった気がします。

個人的には、もうしばらくは、この痛みと共にいることになると思います。

とは言え、このことに紛れてうやむやにしてはいけないことがあると思うので、
今回はそれについて書きます。

前回に引き続きこの欄で政治に触れることに対して、違和感や不快感を抱く人もいるかもしれません。
カウンセラーやセラピストでなくても、政治に関することを表明することはタブーという
暗黙の了解や抑圧が、社会にはあります。
しかし、私にとって(本当は誰にとっても)、政治と無関係な事柄はありません。

40代の頃、私は1期(4年)だけ市議会議員をしていました。
その前には、貧しい母子家庭の母として懸命に子育てと仕事をしていました。
そして福祉に携わる役所の人たちの態度に憤りを感じ、
「懸命に生きている人を勇気づけ支えられるソーシャルワーカーになろう!」と
36歳で奨学金を受けながら社会人大学生となりました。

卒業後は専門学校の非常勤講師を経て、
在宅で介護を必要とするご本人と家族の相談に乗るソーシャルワーカーになりました。

ソーシャルワーカーとして仕事をした1年の間に、
私は介護に悩み辛さを抱える多くの家族と出会いました。

「明日は自分が姑を殺してしまうかもしれない」と苦しむ嫁の立場の人や、
実の娘が介護放棄をした結果、褥瘡にまみれ亡くなる寸前のお年寄りを保護したこともありました。

そのように苦しむ人たちが待っていた特別養護老人ホーム入所の順番が、
議員などの口利きで簡単にひっくり返されてしまう現実を何度も目にしました。

「こんな不公正を無くし、本当に必要な人が制度を利用できる町にしたい」という思いから、
多くの人たちから背中を押され、私は思ってもみなかった政治の世界に足を踏み入れました。
そして精いっぱい議員としての仕事をし、やがて心と体を壊し、1期で辞めました。
あの頃の私にとって、市議会議員になることは必然だったのだろうと思います。

私はいつでも、自分をごまかさず、自分が感じること・思うことを大事に生きてきました。

そして今は、クライアントさんが理不尽な環境やパワハラの中でも
「自分として譲れないもの」を手放さずに仕事をしていくことを、
心や命を損なわずに誇りをもって働き続けること(時には辞めること)をサポートしています。

ですから、「私が生きること」「クライアントさんとの関わり」
「政治に触れること・行動すること」は、矛盾なく一貫しています。

そして今、というより、ずっと、安倍首相の「やってきたこと」
「やろうとしていること」に怒りを感じています。

そんな私の(そしてたぶん多くの人たちの)怒りや憤りの気持ちをぴったりに、
そしてユーモアたっぷりに表現してくれる人が、「せやろがいおじさん」です。

私はユーチューブをめったに観ませんが、
「せやろがいおじさん」はお薦めなので、未体験の人はぜひ観てみてください。

以下に、先週アップされた「せやろがいおじさん」の『森友問題に物申す』を書き記します。
「せやろがいおじさん」が早口で言っている言葉を私が書き写したので、
句読点やカギかっこなどは私が付けてここに書き記しています。
本当は彼が言っている言葉を書き記すのには許可が要るかもしれませんが、
「せやろがいおじさん」はきっとこういうことは許してくれるだろうと勝手に思って、やりました。

以下、「せやろがいおじさん」(関西弁のノリで読んでください)・・・・・・

森友学園の問題のこと、覚えてる~?
覚えてないっていう人も多いと思うから20秒きっかりで説明するな。
(スタート)
国有地がなぜか8億円も値引きされて森友学園に売却され
その土地に新しく建つ予定だった小学校の名誉校長に安倍昭恵夫人の名前があった。
国民の財産である国有地が謎の理由で叩き売られている件に
「総理大臣の身内が関わっていたらヤバいやろ!」って野党が追及したところ、
安倍総理が「私や妻が関わっていたら総理も議員も辞める」って言うて、
そのあと野党がいろいろ追及するけど経緯を知るための文書がことごとく破棄されてて、
あげくの果てには安倍昭恵夫人が関与していることを示す文書が改ざんされる
といったことが起こったんや。
(20秒きっかり)
森友学園の件って、「もうとっくに終わった問題でしょ」みたいな空気出てるけど、
なぜ8億円も値引きされたのか、本当に昭恵夫人は関与していないのかなど
何も明らかになっておらず、うやむやのままや。
公文書改ざんについてもそうで、財務省が調査したけど改ざんがどんな目的で行われ
誰の指示があったのかなど経緯が明らかになってないままやった。

世間がすっかり忘れていた今、森友学園問題の公文書改ざんに関わり自ら命を絶った
近畿財務局職員の赤木俊夫さんの手記が公開された。
そこには誰がいつどんな指示をしたかなど財務省の報告書には書かれていなかった
改ざんに至る経緯の詳細が書かれていた。
財務省の調査報告書には「新しい事実が出てきたら、再調査します」って書かれてんねん。
せやから「再調査しろ、財務省」って野党が言ったんやけど
安倍総理と麻生大臣はこれを拒否したんや。

うん。 それでええんちゃう?
俺も財務省は再調査せんでええと思う。
むしろ、せんといてくれ!
だって、よく考えてみ?
公文書を改ざんして国民を欺いた財務省が自分らで自分らの調査しても、その内容信頼できる?
オレオレ詐欺の疑いがあるやつに「お前がオレオレ詐欺したか自分で調べろ」って言うても
そいつ絶対「犯人はオレオレ!」って言わへんやん。
そんな感じ。

自殺した赤木さんの妻は、「安倍総理・麻生大臣は調査される側の立場であって、
『再調査しない』と発言する立場ではない」と言ってる。
ホンマにその通りやと思う。
せやから、第三者機関による徹底した再調査を求めるべきやと思う。

ほんでビックリする話するか?
報道ではなんと、改ざんを指示した佐川元理財局長含む改ざんに関わった6人は
減給などの処分を受けた後に軒並み出世してんのよ。
そして、嘘をつかされた真面目な職員が自ら命を絶ってる。
これ、おかしくない?
(中略)
「新型コロナで大変な時にそんな話してる場合か」っていう人もおる。
けど、森友問題の時に公文書管理のずさんさや身内びいきの体質について是正せんかったから
「デジャブか」言うくらい、同じような問題点を抱えた桜を見る会の問題が起きたんとちゃうか?

さらに、秋田のイージスアショアはデータが捏造され、辺野古の軟弱地盤の数値が伏せられ、
香川のゲーム条例や石垣の自衛隊配備は議事録が残ってない!
地方にまで隠蔽(いんぺい)・改ざんという病の感染が拡大してパンデミック状態や!

新型コロナも大変やけど、この国がかかってる隠蔽・改ざんという病も深刻や!
この病は、自民党や公明党のホームページに意見を届けたり
再調査を求める署名に参加したりせんと治る見込みはない。

残念ながら新型コロナの治療薬はまだ見つかってない。
けど、この国が罹患してる病は、国民の声が治療薬なんとちゃうか~。
せやろがい!

「せやろがいおじさん」 ここまで・・・・・

(毎週金曜に「グッドラック」(朝の情報番組)で「せやろがいおじさん」を扱っているので、
実は私、金曜日だけ録画して、そこだけ切り取って観ています。)

多くの国民は、安倍総理のやっていることをどう感じているのでしょう?
森友学園問題や加計学園問題などは、
どちらも条件的にもっと適切な学校が適切な価格で名乗りを上げていたのに、
安倍総理に近い人たちに有利なように物事が運ばれていきました。

政治の面で不公正なことをいくつも見せつけられ、そして悪いことをしても罰せられない。
そんなことを何度も目にしているうちに、私たちの中にあきらめが生じていく。
こうして気づかないうちに「私たちの心がゆがめられていっている」と、感じます。
目に見えない形で「国民の心がゆがめられていく」ことが、
安倍総理の最大の罪だと私は思っています。

森友学園問題で改ざんに関わった人たちは、全員不起訴となり罪には問われませんでした。
この問題を担当した大阪地検特捜部はすべてを知っていながら全員を不起訴にしました。
当時の法務省事務次官が、今、安倍総理が法律の解釈を歪めてまで
「検事総長にしたい」ともくろんでいる黒川東京高検検事長です。

検察庁のトップにまで安倍総理の意のままになる人を据えようとしているなんて、
本当にどこまで不正や不公正を平気で行おうとする人なんでしょう。

そうなってしまったら、安倍総理やその近い人たちがどんなに悪いことをしても
罪に問われることはなくなります。
私たちは、そんな社会になっていくことを黙って見ていることしかできないのでしょうか。

私は何党にも、どんな宗教にも、どんな組織にも所属していません。
そもそも、個人の気持ちが「常にみんなと同じ」なんて、そんなことはあり得ないと思います。
その時々で「自分はどう思うのか」を大事にしていきたいと思う私は、組織にはいられません。

自民党や公明党の人たちだって、安倍総理の数々の行いを「良い」とは思っていないと、
私はそう信じたい。

おかしいことはおかしいと、そう言える社会であってほしい。
誰のためでもなく、私たちが生きる社会がこれ以上ゆがめられないように、
私たち自身が自分が生きているこの社会を守っていくことが必要だと感じています。

相当抵抗したけれど最終的には改ざんに関与させられ自責の念で自殺された
近畿財務局の赤木俊夫さんが味わった苦悩と、夫の手記を公表した妻の気持ちを、
私たちは無にしてはいけないと思います。

安倍総理のお気に入りのジャーナリストにレイプされ、それを訴えても起訴に至らなかった
(山口敬之氏に逮捕状が出たにもかかわらず、直前で「上からの指示で」取り下げられた)
伊藤詩織さんをもっとしっかりと支えられればよかったという後悔を込めて、
今私は改めて不公正への怒りを表明します。

赤木さんの妻が求めている「第三者委員会による公正中立な再調査」への署名のサイトは
http://chng.it/yBNFhJG97G 「私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか」です。

こういうことに慣れていない人は、こういうやり方に躊躇するかもしれません。
私もそんな一人でしたが、今回は初めてネット上での署名をしました。
誰に言われたわけでもなく、自分の意思で行いました。
私なりの小さな、そして大切なことを大切にしたいと願う一歩です。