Israel and Palestine.

掲載日:2015.12.19


 娘が先日フェイスブックにアップした文章を、以下に載せます。少なくともあと数日間は娘と連絡が取れないので、このコラムへの掲載は事後承諾ですが、きっと了解してくれると思います。
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イスラエルとパレスチナ自治区。
 ここは旅に出るまではあまり興味のなかった場所だったのですが、いろいろな国で宗教のことを学ぶうちにユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの聖地であるエルサレムを訪れてみたいと思うようになりました。
 たぶんここへ来たことのない人の大半は中東=危険というイメージがあると思います。実際そのような場所があるのは事実ですが、それはほんの一部にすぎず、ほとんどの地域は平和で人々が普通に生活をしています。そして彼らはそのイメージをとても悲しく思っています。…
 今年初め、南米を旅しているときにたくさんのイスラエル人の若者に会いました。彼らは男女共に兵役を終え、支給されるお金で旅行することがステータスのようになっているとのことでした。実際エルサレムには軍服を着て銃を持った若者が普通にたくさん歩いています。最初はこんな平和な街なのにという違和感でしかありませんでした。ただ、パレスチナ自治区を訪れた際に、今朝16歳のパレスチナ人の少年がイスラエル兵士に向かって投石していた際に射殺されたという話を聞いて、納得したと同時に宗教って何なんだろうという思いでいっぱいになりました。
 全然知らなかったパレスチナ問題。歴史は長いし、問題はすごく根深いところにあるんだろうけど、お互いの違いを認め合えず恨み続け、でもこの紛争によって得をする人がいて、本当の意味で公平にジャッジできる国際機関もなく、あとどれだけの犠牲を出すのだろうと思うと悲しくなります。
 無宗教の私からしたら、黒スーツに黒ハットに長く伸ばしたカーリーもみあげのユダヤ教超正統派の男性も、目の部分しか開いてない黒づくめのイスラム教の女性も、キリスト教の洗礼も、全部まさか!?って感じだけど、みんなそれぞれ信じるものは違っていいんだし、尊重し合えたらなぁって思うけどなんだか難しいみたいです。だってバスでさえユダヤ人用、アラブ人用って分けられてるくらいだから。
 そんな中無邪気に笑う子どもたちに一番癒されました。
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 他にも娘から届いたメールの中には、「きのうホテルのスタッフと話してて、日本人は大好きだけど日本と言う国は好きじゃないって言ってた。日本はアメリカが大好きで、中東は危ないっていうニュースしか流さないって言ってて、本当にそうだなって思ったよ。エジプトもヨルダンも街を歩けばウェルカムっていろんな人に声をかけられて、本当に感じいいんだ。もちろん危ないところもあるんだろうけど、それはどこの国でも一緒だよね。どこの国にだっていい人と悪い人がいるように。悪いことしか報道されないで、いいことがあってもニュースにならないでしょ。やっぱりこうやって来てみないとわからないんだよね」とありました。
 娘が伝えてくれるマナの声を通して、私たちは現実の一断面しか報道で伝えられていないことを改めて実感します。もちろん娘の体験も一断面でしかありませんが、別の切り口があることを彼女は頭でではなく体験として感じ取っており、その一部を私たちに伝えてくれる声を私は大切に受け取りたいと思っています。